僕は写真撮影をメインに仕事をしていますが、
動画の撮影もお願いできますか?
と聞かれる機会も増えてきました。
現在、仕事ではCanon EOS 5D4、プライベートではFUJIFILM X-T2を使用しています。
今後、キヤノンのミラーレスカメラ(RFマウント)に移行しようとしていますが、その点も踏まえて、まずは動画を撮影しやすいカメラを探すことにしました。
この記事では、動画向きのカメラをピックアップして、比較検討する記事となっております。
こんなカメラが欲しい!動画カメラを選ぶ条件
今回動画カメラを選ぶのに重視したのは以下のポイント。
- 価格ではなく性能重視
- ダブルスロット&動画を同時記録できる
- AFの速さと正確さ
- 瞳AF
- タッチパネル
- 手ぶれ補正
- 手持ちでも軽快に撮影したい
- 動画だけじゃなくて、写真機としても使えるカメラ
- でも、高画素は求めていない
候補に選んだ7機種
いろいろ調べながら候補に選んだのが以下の9機種。
現在、仕事で使用しているのはCanon EOS 5D4、プライベートではFUJIFILM X-T2を使用しています。
キヤノンユーザーなので、ゆくゆくはミラーレスカメラもキヤノンのEOS Rに乗り換える予定。
待ち望んでいたキャノンの本気のミラーレスカメラR5とR6も去年(2020年)ようやく発売されましたが、供給の遅れから市場に出回らず、現在は予約販売のみの状態で、完全に買うタイミングを逃している状態。
瞳AFが使えない点を除いては、5D4に十分満足してる。
でもそんな中、5年ぶりに動画機能に特化したSONY α7SIIの後継機・SONY α7SIIIが満を辞して登場。
SONYのカメラはAFがとにかく優秀で、カスタマイズすることでめちゃくちゃ使いやすくなるし、スペックがとにかく魅力的で、SONYのカメラを一度しっかりと使ってみたい好奇心もあるので、ここいらでいっちょSONYっていうのもありかなと思っていたりします。
レンズ資産を活かす意味でも、金銭的な部分でも、キヤノンか富士フイルムを動画カメラとして採用できたらベスト。
でも結局、富士フイルム以外は新しいマウントのカメラを増やさなければいけないので、ストレスなく撮影に集中できることが最優先事項。
動画機としてはもちろんですが、写真機としても使いたいので、Canon EOS C70とBlackmagic Pocket Cinema 4Kは省きます。
以下、候補のカメラのスペックをざっくりと一覧表にまとめてみました。
それにしても、動画のスペックは見慣れないから難しい。
製品名 | センサーサイズ | 有効画素数 | マウント | ダブルスロット | 記録メディア | 動画の同時記録 | 動画画質 | フォーマット | 記録形式 | Log収録 | RAW動画 | AF | 瞳AF | 手ぶれ補正 | 最長記録時間 | HD出力 | マイク端子 | ヘッドフォン端子 | 放熱ファン | モニター | タッチパネル | 大きさ | 重さ | 発売日 |
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Canon EOS R5 | 35mmフルサイズ | 4500万画素 | キヤノン RFマウント | ◯ | CFexpress(Type B)/SD | ◯ | ・8K/30p ・4K/120p ・フルHD/120p | 4:2:2 10bit | ・MP4 ・RAW | Canon Log | ◯(内部記録) | デュアルピクセルCMOS AF | ◯ | ◯ | 最大約35分(記録モードによる) | HDMマイクロ端子(タイプD) | ◯(Φ3.5mm) | ◯(Φ3.5mm) | ✕ | ・3.2型/210万ドット ・バリアングル | ◯ | 約138.5(幅)×97.5(高さ)×88.0(奥行)mm | 738g | 2020年7月30日 |
Canon EOS R6 | 35mmフルサイズ | 2010万画素 | キヤノンRFマウント | ◯ | SD×2 | ✕ | ・4K/60p ・フルHD/120p | 4:2:2 10bit | MP4 | Canon Log | ✕ | デュアルピクセルCMOS AF | ◯ | ◯ | 最大約40分(記録モードによる) | HDMIマイクロ端子(タイプD) | ◯(Φ3.5mm) | ◯(Φ3.5mm) | ✕ | ・3.0型/162万ドット ・バリアングル | ◯ | 約138.4(幅)×97.5(高さ)×88.4(奥行)mm | 680g | 2020年8月27日 |
SONY α7SIII | 35mmフルサイズ | 1210万画素 | ソニー Eマウント | ◯ | CFexpress(Type A)、SD | ◯ | ・4K/120p | 4:2:2 10bit | XAVC S、XAVC HS | S-Log | △ (HDMIケーブル経由で外部レコーダーへ16bitRAW動画を出力可能) | ファストハイブリッドAF (位相差検出方式 / コントラスト検出方式) | ◯ | ◯ | 最大約13時間 | HDMI端子(タイプA) | ◯(Φ3.5mm) | ◯(Φ3.5mm) | ✕ | ・3.0型/144万ドット ・バリアングル | ◯ | 約128.9(幅)× 96.9(高さ)×80.8(奥行)mm、約128.9 x 96.9 x 69.7mm (グリップからモニターまで) | 699g | 2020年10月9日 |
FUJIFILM X-T4 | APS-C | 2610万画素 | FUJIFILM Xマウント | ◯ | SD×2 | ◯ | ・4K/60p ・フルHD/240p | 4:2:2 10bit | MOV、MP4 | F-Log | ✕ | インテリジェントハイブリッドAF (TTLコントラストAF / 位相差AF) | ◯ | ◯ | 最大約30分(記録モードによる) | HDMIマイクロ端子(タイプD) | ◯(Φ3.5mm) | ✕ | ✕ | ・3.0型/162万ドット ・バリアングル | ◯ | 約134.6(幅)×92.8(高さ)×63.8(奥行)mm(最薄部32.7mm) | 607g | 2020年4月28日 |
Panasonic LUMIX S1H | 35mmフルサイズ | 2,420万画素 | ライカ Lマウント | ◯ | SD×2 | ◯ | ・6K/24p ・4K/60p ・フルHD/60p | 4:2:2 10bit | MOV/MP4/AVCHD | V-Log | △(外部記録) | 映像検出によるTTL方式(コントラストAF) | ◯ | ◯ | 無制限 | HDMI端子(タイプA) | ◯(Φ3.5mm) | ◯(Φ3.5mm) | ◯ | ・3.2型 /233万ドット ・バリアングル | ◯ | 約151.0(幅) × 約114.2(高さ) × 約110.4(奥行)mm | 1,164g | 2019年9月25日 |
Panasonic LUMIX GH5 | マイクロフォーサーズ | 2033万画素 | マイクロフォーサーズマウント | ◯ | SD×2 | ◯ | ・4K/60p | 4:2:2 10bit | MOV/MP4/AVCHD | V-Log L | ✕ | 映像検出によるTTL方式(コントラストAF) | ◯ | ◯ | 無制限 | HDMI端子(タイプA) | ◯(Φ3.5mm) | ◯(Φ3.5mm) | ✕ | ・3.2型 / 162万ドット ・バリアングル | ◯ | 約138.5(幅)×約98.1(高さ)× 約87.4(奥行)mm | 725g | 2017年 3月23日 |
Nikon Z 6II | 35mmフルサイズ | 2450万画素 | ニコン Zマウント | ◯ | CFexpressカード(Type B)/XQDカード/SD | ✕ | ・4K/30p ・フルHD/120p | 10bit | MOV、MP4 | N-Log(HDMI出力時) | △ (HDMIケーブル経由で外部レコーダーへ12bitのRAW動画を出力可能) | ハイブリッドAF(位相差AF/コントラストAF) | ◯ | ◯ | 29分59秒 | HDMI端子(タイプC) | ◯(Φ3.5mm) | ◯(Φ3.5mm) | ✕ | ・3.2型/210万ドット ・チルト式 | ◯ | 約134(幅)×約100.5(高さ)× 約69.5(奥行)mm | 705g | 2020年11月6日 |
完全に自分視点であーだこーだ書いていきます。
1.Canon EOS R5
キヤノンがやっと本気を出したミラーレスカメラ。
EOS 5Dのミラーレス版のEOS R5。
EOS R5+RFレンズの組み合わせは、AFが爆速&正確すぎて本当に惚れ惚れする組み合わせ。
5D4+EFレンズでも十分に速いが、それを完全に上回ってる。
キヤノン純正のマウントアダプターを使用すればEFレンズも使えるので、一眼レフからのキヤノンユーザーはレンズ資産を活かせるのもありがたい。
動画機としても写真機としてもスペックになにも文句のないカメラ。
ただし、熱問題(オーバーヒート)と、撮影可能時間については気になるポイント。
自分の使用用途だと4500万画素は完全にオーバスペック。
2.Canon EOS R6
EOS R5の弟分EOS R6。
R6のセンサーは、キヤノンの最上位機種・EOS-1D X Mark IIIと同等のパフォーマンスを発揮するセンサー。
AF性能もR5に劣らず爆速&正確。
画素数はR5の4500万画素に比べて画素数は低くなりますが、自分の使用用途では2010万画素もあれば十分。
むしろ、データサイズが大きすぎなくて使い勝手がいい。
元々はR6を購入する予定で、動画カメラとしても使えるのがベストでしたが、2枚のカードに動画を同時記録できないことがわかり仕事カメラには使えないと判断。
リスクヘッジの意味でダブルスロット&同時記録は必須。(写真は2枚同時記録可能)
プライベートのカメラだったら気にならないんだが…。
R6が本命だったから痛すぎる。
3.SONY α7SIII
動画機能に特化したSONY α7SIIIが5年ぶりに発売されました。
動画カメラとしてプロのフィードバックを元に、ブラッシュアップを重ねた上での発売ということもあって、痒いところに手が届きすぎるカメラに仕上がってます。
とにかくいろんなカメラを触りまくった結果、一番AF機能が素晴らしかったのがSONY α7SIIIです。
特に「AFトランジション速度」と「AF乗り移り感度」機能が素晴らしい。
これこれ!カメラ任せでこんなことできたら最高!という機能が搭載されています。(下記の動画を参考)
写真の撮影とは違って、動画のAFは速いだけじゃダメ。
ピントマンがフォーカスを合わせるように、演出に合わせた適切な速度が重要。
それをSONY α7SIIIなら意図に合わせて自由に設定できる。
すげぇ、すげぇぞα7SIII!!
あと、リアルタイム瞳AFでカメラが瞳を認識して、ピントを追い続けてくれる機能も最高!
ピントを気にせず、構図に集中できる。
さらに本格的に動画を撮影したくなった場合も、SONY FX6というプロ仕様のシネマカメラがラインナップにあるのもSONYの強み。
しかも、SONY FX6のレンズはEマウントなので、レンズもα7SIIIと共有できて、シームレスにカメラシステムを使うことができるありがたすぎる仕様になっているのも高ポイント。
正直、候補に挙げた中で一番いまいちポイントが見つからないカメラですが、写真機として使う場合、僕が感じる唯一のいまいちポイントは画素数が1210万画素だという点。
1200万画素だと印刷でA3程度までなら問題ありませんが、トリミングをする場合を考慮すると使用用途は限られてくる印象。
ただし、Webに掲載する用途であれば十分すぎる画素数です。
α7SIIIは、使う人にとっては弱点のないカメラかもしれません。
4.FUJIFILM X-T4
富士フイルムの一番のおすすめポイントは、とにかく画が綺麗なこと!
プライベートでは富士フイルムのFUJIFILM X-T2を使用していますが、あまりの写真の綺麗さにシャッターを押すたびにうっとりしてしまうレベル。
現像するときも、明るさとコントラストをちょっといじるだけで十分なくらい、完成度の高い画が撮れます。
その理由は富士フイルム独自のフィルムシュミレーションが使えるから。
フイルムメーカーとして培った技術がデジタルカメラにもいかんなく注ぎ込まれています。
フィルムシュミレーションは写真だけではなく動画にも使えます。
グレーディングしなくても、撮って出しで十分綺麗な映像が撮影できるので、撮影後の手間と時間を大きく省くことができるのが大きな強み。
センサーサイズはAPS-Cサイズですが、35mmフルサイズと遜色のない画質なので、センサーサイズは特にデメリットだと感じさせません。
ただ、自分的には富士フイルムの弱点はAF性能。
富士フイルムのAFはキヤノンやソニーなんかに比べると速度と正確さがいまいち。
動きの少ない撮影やマニュアルでピント合わせする場合なら間違いの無い選択肢になる。
5.Panasonic LUMIX S1H
Netflixが唯一使用を認めているミラーレスカメラがPanasonic LUMIX S1H。
プロフェッショナルのための動画撮影に特化したカメラです。
Panasonic LUMIX S1Hは、撮影時間に制限がないことが強み。
しかも、放熱ファンが搭載しているのでオーバーヒート対策もバッチリ。
マウントはライカLマウントが採用されているので、ライカ、パナソニック、シグマのLマウントレンズが使えて、レンズラインナップが豊富なのも嬉しい。
ちなみに、Panasonic LUMIX S1Hの弱点はAF性能。
富士フイルムと同じ理由で、キヤノンやソニーなんかに比べると速度と正確さがいまいちな印象。
ただし、動きの少ない撮影やマニュアルでピント合わせする場合なら間違いの無い選択肢。
あと、ボディがとにかく大きくてゴツくて重い。
手持ちで撮影する場合にフットワークが重そう。
6.Panasonic LUMIX GH5
動画撮影で評判のいいPanasonic LUMIX GH5。
おすすめポイントは多くありますが、センサーサイズがマイクロフォーサーズだということと、2017年に発売されている(約4年が経過)という点が気になるポイント。
マイクロフォーサーズの利点はレンズが小さくて、軽いので機材がコンパクトにまとまること。
ただし、35mmフルサイズとマイクロフォーサーズのボケの大きさの違いは顕著。
ボケを活かした映像を撮影したい場合はこれじゃない感がある。
室内で撮影することも想定すると高感度耐性も気になる。
しかも、発売から4年経過しているので、特別なこだわりがない限りわざわざPanasonic LUMIX GH5を選ぶ理由はないかも。
7.Nikon Z 6II
Z6IIの強みはBlackmagic RAWが使えること。
Blackmagic RAWの特徴は、動画をRAW撮影できて、しかもデータ容量が小さい点。
写真だとRAWデータは重いですが、Blackmagic RAWはRAWなのにデータ容量が小さくて軽快な動画編集が出来ます。
しかもRAWだからダイナミックレンジも広く、後から編集がしやすい。
ただし、Z6IIはダブルスロットではありつつも動画の同時記録はできない点が残念。
まとめ
いろいろなカメラを物色して比較してみましたが、完璧なカメラはない!というのが率直な感想。
だからこそ、自分の使用用途にあったカメラを選ぶことが重要。
実際に触ったフィーリングが一番良かったのが【SONY α7SIII】。
これだけ評価されているカメラを使っていい映像が撮影できないなら自分に足りないものがある、と機材を言い訳にできない部分も重要なポイント。
でも、カメラなんて実際に使ってみないと本当の使い勝手なんかわからないのが正直なところ。
ボディやレンズ、その他周辺機器も揃えるとなるとなかなかの出費になるので選びのが難しいところですが、これ!と思ったカメラを選ぶしかありませんね。
今後、動画カメラについて更新していきたいと思います。